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トリプルファイヤー特集(サウンド分析&歌詞分析&スキルアップ全曲レビュー)

2014.02.16 Sun
お疲れ様です。なべやまひできです。

今回は僕が大好きなバンド「トリプルファイヤー」について、勝手に特集したいと思います。
サウンド分析・歌詞分析・そして新作アルバム「スキルアップ」全曲レビューの3本立てです。
それではどうぞー。

トリプルファイヤー特集
20140128182317.jpg


1.サウンドについて

トリプルファイヤーのサウンド。
もの凄く簡単に言ってしまうとニュー・ウェイブである。
Gang Of Four、Televisionといったバンドの鋭さ、
DAFやジェイムス・チャンスといったバンドの変態性を受け継ぎ、
そして邦楽で言うならば、明らかにゆらゆら帝国「空洞です」以降の音である。
要するに、鋭くて、スカスカしており、変態的で、ポップな音。
この辺りは色んな人が色んなとこで書いており、実際その通りだと思うのだが、
個人的にどうにもそれだけでは何か足りていないように思う。
ということで、ここではトリプルファイヤー(特に今作「スキルアップ」)の楽曲構造に触れてみたい。

トリプルファイヤーはロックバンドであるが、
その楽曲構造はロックというよりもむしろ、ヒップホップ・R&Bに近いものである。
簡単にいうとループミュージックだ。
1小節ないし2小節の短いフレーズの繰り返しで楽曲を構築する手法。
あんまり音楽の知識がない人でも分かるように、なるたけ簡単に説明してみると、

普通のロック・ポップスの楽曲は、ドラム・ベース・ギターの板を下から積み重ねていく感じ。
図にするとこう。
001.png

それに対して、ヒップホップ・R&Bは、フレーズのブロックを横に並べる感じだ。
図にするとこう。
002.png

上記の図で分かる通り、この2つの手法では楽曲を構築する際に考える単位が異なるのだ。
前者は板、つまり直線的に考えるし、後者はブロック、つまり立方体的に考える。
要は楽器毎にバラバラに考えるか、ひと固まりのフレーズとしてまとめてドンと考えるかの違いである。
で、トリプルファイヤー(というかギター鳥居氏)というのは、
明らかに後者の手法で楽曲を構築しているなあと思ったわけである。
実際、トリプルファイヤーが出演した「象の小規模なラジオ」では、
鳥居氏の「ネプチューンズを参考にしている」といった発言もあったりして、
これはもう完全に意識的にやっているのであろう。
よく聴けば新作「スキルアップ」のドラム&ベースの録り音は、ヒップホップ的なバタ臭さがあり、
ドラムとベース、というよりかはむしろ、2つでひとつの「ビート」として鳴っている感がある。
そしてよく言われる音数の少なさも、実は近年の洋楽のトレンドを反映した結果ではなかろうか。

何が言いたいかというと、要はトリプルファイヤーの楽曲は非常に「今っぽい」のである。
歌詞とかバンドのスタンスとかそういった要素を抜きにして、単純に音楽的な面で。

トリプルファイヤーが、単純なニューウェイブリバイバルや変態性の模倣に留まらない理由がこのあたりにあると思っていて、
「今の時代の音」を鳴らすことに非常に自覚的なバンドだと思う。
トリプルファイヤーとは斬新なロックバンドであるとともに、優れたビートメイカーでもあるのだ。


2.歌詞について

トリプルファイヤーの歌詞は大きく分けて2タイプあると思う。
1つは「面白いパーティー」「スキルアップ」に代表される「情景描写型」で、
もう1つは「エキサイティングフラッシュ」「可能性が無限」「神様が見ている」に代表される「メッセージ型」である。
(メッセージ型というのが適切とも思わないが、他に良い呼び方も浮かばないので便宜的にそう呼ぶことにする)
前者の「情景描写型」はその名の通り、ある情景を淡々と描写する歌詞で、あたかも絵が浮かぶような鮮やかな言葉選びが特徴である。
そして後者の「メッセージ型」の特徴は何かというと、「本当のことしか言わない」ということである。
(このあたりは青春ゾンビさんのレビューにも言及があります。凄く良いレビューだと思います)
ここでは「メッセージ型」の歌詞について、僕なりにもう少し言及してみたい。

例えば「明日は晴れる」「君はもうひとりじゃない」といったフレーズを聴いたときに生じる、あの何とも言えない違和感。
本当か?と。そんなこと歌ってお前責任取ってくれるのか?と。
トリプルファイヤーの歌詞は、そういった違和感をそぎ落としたところから生み出されている。
つまり疑いの余地を聴き手に与えない、反論できないフレーズ、カッコイイ言い方をすれば「真実」を意識的に選んでいる。
何故そうするかというと、おそらくボーカル吉田氏は頭が良くて性格の悪い人間なので、反論されるのが癪に障るのだろう。
多分、歌詞を考える際に、「これは本当のことか。誰も反論できないか(更に言うとユーモラスに響くか)」を推敲するプロセスがあるように思う。
その結果、生み出された歌詞が「ちゃんとしないと死ぬ」であり「可能性が無限」であり「日本海で獲れた魚は身が引き締まってる」なのだ。誰も反論できない。
前作「エキサイティングフラッシュ」でも「成功している人にはきっと法則がある」「親を大事にしないやつは地獄に落ちる」といったフレーズがあり、
これは吉田氏の一環したスタンスなのだろうと思う。
そして何より素晴らしいのは、それが決して暑苦しくなく押し付けがましくもなく、極めてユーモラスに響くという点である。


3.「スキルアップ」全曲レビュー
スキルアップ
1. 面白いパーティー
まずタイトルとは裏腹に全然面白くなさそうな曲である。
出だしからいきなり不穏な感じだし、サビのボーカルにかけられたリバーブは聴き手をより一層不安にさせる。
歌詞はひたすら淡々と「面白いパーティー」を描写していくが、なんとなくこのパーティーは実現しない気がする。
ジェンガ大会て。
これを聴いて僕が思い出したのは、巨人の星の「一人クリスマス」だった。
そして別の観点からこの曲を評すると、これはトリプルファイヤー版の「かっこいいジャンパー」である。
電気グルーヴが傑作「A」の冒頭で自らのスタンスを表明したかのようなナンバー。
トリプルファイヤーの無駄と違和感をそぎ落とすスタンスが、以下の一行に凝縮されているのではなかろうか。
「面白い事だけを集めた面白いパーティー」

2. ちゃんとしないと死ぬ
今作の中でも非常にヒップホップっぽいナンバー。
ドラムとベースの絡みつくようなグルーヴがたまらない。
あとこれは今作全般に言えることだが、全体的にグルーヴがねっとりと絡みつくような仕上がりになっており、
要するにグルーヴが蛇っぽい。
今作はジャケットの大蛇がインパクト大だが、これがそのまま作品のグルーヴを表現しているような気がする。
偶然か否かは知らぬが。
あと、曲の中盤で楽器隊のリバーブが切れてドライになるとこが滅茶苦茶カッコイイ。

3. スキルアップ


トリプルファイヤーの名を一躍世に知らしめたであろう名曲その1。
棒を突き刺したり風船を膨らませたり、何やってるのか良く分からないが確実に絵が浮かぶ言葉選びは見事である。
そして何としても外せないのは「ここまで大きな現場を任されるようになりました ありがとうございます」という必殺の1行。
何が凄いって、ライブのハコがでかくなる度にこのフレーズが強烈なカタルシスを生むのである。
これはもう発明と言って良いレベルだ。
Zepp Tokyoで、フジロックで、武道館でこのフレーズが聴ける日を、僕は楽しみにしている。

4. Jimi Hendrix Experience
深く沈み込むようなトリップ感抜群のナンバー。
完全にヒップホップの手法で作られており、各楽器のフレーズもミニマルかつグルーヴィー。そしてサイケ。
でもって歌詞の「世の中には二種類の人間がいる ジミヘンドリックスを経験した者とそれ以外の者」
おっしゃる通り。グウの音も出ない真実である。ちなみに僕は一応経験した者です。

5. カモン


トリプルファイヤーの名を一躍世に知らしめたであろう名曲その2。
こちらのライブ動画を見て頂ければ、もう基本的に言うことは何も無い。
CDでは各フレーズがカット&ペーストされており、スタジオ版ならではの味わいを見せている。
あと、2番で2回だけ挿入される「ハッ」が破壊力抜群。アッコさんか。
余談だけれど、昔「ダウンタウンのごっつええ感じ」のコントで、
胸を押すたびに「タイガーマスク!」とか「みちのくプロレス!」とかいった言葉を発するというのがあって、
それを見たときに「人間サンプラーだ」と思ったのだが、それをネタじゃなくて真面目にやるロックバンドが出てくるとは夢にも思わなかった。

6. 本物のキーホルダー
楽曲構造的に今作で一番ロックンロールっぽいナンバーと思う。ギターのリフもそれっぽい。
歌詞は「電通社員」「東大の生協」といったチョイスが素晴らしい。

7. 可能性が無限
今作で一番変態性の高いナンバー。
ネジが2、3本外れているような、どっかで編集を間違えたような気持ち悪いトラックが素晴らしい。
そして特筆すべきはサビ。
基本的に今作のボーカルスタイルは一貫して、つぶやきともラップともとれない言わば「吉田スタイル」となっており、
まともにメロディーに歌詞を載せて「歌っている」のは唯一この曲のサビなのだが、よりによってそれがこれかよっていう。
Keyという概念を完全に無視した、あまりに自由な、だのにどこかしら無機質な歌唱。
やたら癖になるこの感じ、なんかどこかで聴いたことがあるなと思い、ひとつの結論に達した。
なるほど、「カモン」が人間サンプラーなら、この曲のサビは人力Auto-Tuneである。

8. 神様が見ている
殺傷力抜群の正にキラーチューン。「スキルアップ」「カモン」のあとにまだこんなのがあったとは。
Radioheadでいうとこの「idioteque」みたいなヤバさがある。
各楽器のフレーズはシンプルかつストイックの極致というべきもので、
ギターのフレーズなんか文字にしたら「ファーミーミーミーミーミー」である。
下手すれば小学2年生でもギター習って5分で弾けそうだ。
それが他楽器との絡みの妙によって、こんな激ヤバフレーズとして鳴り響くとは、トリプルファイヤー恐るべきである。
こういう曲を作るのはいわば詰め将棋のようなもので、一手間違えるとこの形にならないようなシビアさがあるので、相当に難易度が高い気がする。
歌詞についても「変な顔をしている分心がきれい」をはじめキラーフレーズのオンパレード。
勝手にベストアルバムを作る際にも確実に入れたい1曲である。

9. ブラッドピット
いわゆる「アルバムの締めっぽい曲」。
コンパクトで、大袈裟じゃなくて、適度に速くて、軽くて。
「浜松のブラッドピット」なんて歌詞は生まれてこの方聴いたことがない。
そして必殺フレーズ「お父さんもなあ若い頃は高田馬場のジョイディビジョンと言われてたんだよ」
メンバー全員50歳となったトリプルファイヤーに、是非この曲を歌って欲しいものである。


以上、勝手にトリプルファイヤー特集でした。
そして何よりトリプルファイヤーはライブが最高に最高なので、是非皆様足を運ばれると大変よろしいかと思います。
いずれZAZEN BOYSとかゆらゆら帝国とかそういったレベルのバンドと並ぶだろうし、下手すれば追い越すポテンシャルすら感じます。
嬉しいことに非常に精力的にライブ活動を行っているので、そしてまだチケット代も安いので、近くに来た際はマストです。

それでは。



【補足】
完全に手前味噌ですが、ボーカロイドでトリプルファイヤー「エキサイティングフラッシュ」をカバーしております。
いつ誰がやってしまうか分からないので、先にやっておきました。

 
 
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